膜厚計のアプリケーション

自動車ボディの2層膜(塗装+亜鉛層)の同時測定

鋼板上の亜鉛メッキ厚を塗装膜の上から非破壊測定・特製プローブで亜鉛メッキ厚と塗装膜を同時測定・鋼製基板とアルミ基板の自動検知


 

自動車製造では塗装プロセスの品質管理の果たす役割が益々重要になっています。例えばコストを最小限にするという目標と同時に、効率的な防食と塗装品質への要求も高度化しています。これは例えば、亜鉛(Zn)めっきした鋼製ボディ部品で亜鉛膜厚を低減したり、個々の塗膜の膜厚許容値を厳しく設定する場合です。そのほかにも、使われる鋼製部品の亜鉛めっき方法が多様であることや、その上防食処理が加わることや、基材として鋼のほかにアルミニウムのような材料が増えていることによって、塗膜管理は一層複雑なものになっています。このような様々な部品とその処理方法の全てについて、製造プロセスを効率的に監視し、許容値を確実に遵守しなければなりません。

亜鉛メッキされた鋼製部品の塗装膜を測定するために、電磁式のプローブを使用して亜鉛メッキと塗装膜の合計厚みを測定し、亜鉛膜厚を一定と仮定した値として差し引くのが従来のやり方です。しかし、この方式は、現実の要件を満たすことはできません。同じタイプの乗用車でさえ、ボディ材料の納入業者が様々であるために、鋼板上の亜鉛膜厚に大幅なばらつきがあるばかりか、成形後に亜鉛膜厚が変動することもあります。

従って、要求される膜厚許容値が遵守されているかを検査できるようにするには、とりわけ薄めの陰極電着塗装(KTL)被膜(ケース1、塗装系の構成要素(2)、例えば20 µm参照)の個別測定の場合には、Zn膜厚(約5~10µm)を正確に測定することが必要です。但し塗装膜と亜鉛膜厚を同時に、且つプローブを交換せずに行えることが重要です。また、アルミ基材上の塗膜を測定する必要があります。

プローブESG20は自動車製造のこれら要件を満たすようにとくに開発されました。このプローブは、磁気式プローブと最新の渦電流位相式プローブの組合せによって、いくつかの代表的な測定課題が自動的に実現されます(アプリケーション「デュプレックスモード」、下図参照)。

下図左 ケース1: (塗装系/Zn/鋼)Zn膜厚と塗装系の膜厚を同時に非常に正確に測定 (塗装膜厚とZn膜厚が一緒にディスプレイに表示されます。)
下図右 ケース2: (塗装系/Al)アルミニウム部品上の塗装膜厚を測定。

 

                               図1   ケース1                                                   ケース2

 

塗装系の代表例
  1. リン酸亜鉛(1㎛)
  2. 陰極電着塗膜(20㎛)
  3. 下塗り
  4. 上塗り
  5. クリアラッカー
MS = 電磁式チャンネル
WS PS = 渦電流位相式(位相変位感応式)*
WS AS = 渦電流式(振幅感応式)*
  (注)* 測定原理参照

ケース1: 塗装系/Zn/鋼板(図1左)
鋼板を基材とするZn膜厚(電気メッキ・浸漬浴)5~10µmの測定
構成が(1) (2) (3) (4) (5)の塗装系膜厚の測定
(主な関心事は約20µmの陰極電着塗膜と塗装系膜厚合計)

ケース2: 塗装系/Al板(図1右)
構成が(2) (3) (4) (5)の塗装系の合計膜厚の測定

 


 

基材の認識はプローブが自動的に行います。つまりオペレータは、行いたい塗膜厚測定の対象が亜鉛メッキされた鋼製部品なのかアルミ部品なのかを考えなくて済みます。
ケース1における高精度でのZn膜厚測定は、塗膜を透過する渦電流位相方式によって行われます(リフトオフ補償付き)。実用的なソフトウエアアルゴリズムを利用して、Zn基準サンプルを使用せずにこの渦電流位相式プローブをキャリブレーションできます。
また、ケース2で、アルミ部品上の塗膜測定を行うときは、特別な導電性補償によって、アルミ合金の違い(導電性の変動)が塗膜厚測定に全く影響しない状態で、余計なキャリブレーションなしで、膜厚を非常に正確に測定できます。

自動車製造に実際に使われているPHASCOPE® PMP10 DUPLEXとプローブESG20
(工場写真:フォルクスワーゲン)


過去においては多くのメーカーが塗膜測定に2種類のプローブを採用してきました。この自動車ボディの塗膜厚測定のために、追加のプローブが必要にならないように、プローブESG20はデュアルモードでも使用できます(アプリケーションで「デュアルモード」を選択)。従ってこのデュアルプローブを使用すると自動的に基板検知を行い、「塗膜/鋼」ないし「塗膜/アルミ」の両方の測定を1台で行えます。ESG20は汎用プローブとして自動車製造におけるプロセス管理にもぴったりです。



塗装工場の製造現場で機動的に使われているデュプレックス装置
(工場写真:フォルクスワーゲン)