膜厚計のアプリケーション

微小構造物の高精度厚さ測定を可能にする新開発

ポリキャピラリィ光学系の集光度の高さの実証例


 

 

図1: ウェハ上の微小構造物の例。直径約30ミクロンで高さ30μm
のはんだバンプ。Cuベース上に、それぞれ厚さ10~15μmのSnAg
とAuの多層膜から構成されています。この画像は共焦点顕微鏡で
作成されました。
 
一般に、 半導体部品や電子部品のテスト対象はどんどん小さくなっています。FISCHERのXDV装置は、ウェハのパッド、はんだバンプ、直径30µmのSMDなどにコートされている、金、ニッケル、スズ、スズ/銀、銅などの金属多層膜を正確に測定できます。 しかし微小構造物を高い信頼性で測定するには、 いくつかの条件が揃う必要があります。 まず第ーに、測定器の基本構造とステージ精度が、1µm未満の位置決めが可能であること。 第二に、測定スポットにビームのすべてのエネルギーを 集中できる最適なエックス線光学系、三番目に、調整と評価のために 最適化されたソフトウェアが必要です。

 

 

 

図2a: フィルムエッジをSn-Kでスキャンした例。測定点の変遷
はハロー現象を示します。(キャピラリAを使用)

 

以下の記述では、おもにエックス線光学系の特性について述べます。 ミクロンサイズのガラスキャピラリ数十万本から構成されたポリキャピラリレンズは、 目的に応じて特定の幾何学的形状に形成されています。 X線チューブからのエックス線は、ガラスキャピラリのなかを全反射で導かれ、サンプル面に集光にされます。 しかしながら、X線反射はエックス線の量子エネルギーと反射材料に依存します。 放射の波長が短ければ短いほど、全反射角度はより小さくなります。 20keVのエネルギーでは、通常のウィンドウガラスを使用した場合、角度は約0.1度です。 エックス線を適切に集光するためには、 ガラスキャピラリの最終端をできるだけ正確に同一の小さいポイントを向けなければなりません。 このため、キャピラリを正しい曲率半径で曲げる必要があります。 以上の条件を満たしても20keV以上のエネルギーを持つエックス線は集光できません。この望ましくない現象 (ハロー現象と呼ばれる)のため、今までは25keVのSn-Kラインなどのような20KeV以上の スペクトルエネルギ ーレベルでは、微小構造の分析を 高い信頼性で行えませんでした。

 

 

 

図2b:Sn-Kでフィルムエッジをスキャン。測定点の変遷はX線
光学系にハロー現象がないことを示しています(キャピラリC使用)。

 

しかし、 ベルリンのIfG(Institute for Scientific Instruments GmbH)がハロー現象の起こらないキャピラリの生産に成功しました。その特性と潜在的用途を、以下に手短に説明します。
金属箔(この場合スズ、Sn-Kライン)のエッジ上をスキャンして強度を測定するとポリキャピラリ光学系の特性がはっきりします。 強度分布が急であれば急であるほど、ポリキャピラリ光学系の集光度合が高いことを示しています。 以下の2つの数字は、ハロー現象のある場合とない場合の違いを例証します。
計算された強度と測定された強度を比較することによって、 集光されたエックス線放射と集光されていないエックス線放射の割合を決定できます。 図3のグラフが示すように、キャピラリCにおいては強度の98%以上が サンプルの50µm以内にあるが、キャピラリAでは80%未満です。キャピラリAからのX線の大きな部分が実際の焦点場所より外側数100µmの領域に放射されているのが解ります。

 

 

 

 
図3: 2種類のキャピラリAとCでスキャンして得られた強度分布
(図2aと2b)から計算。
 
図3ではキャピラリAからの全放射強度の約80%は50µm以内にあり、残りはハロー現象で大きい範囲に広がっています。キャピラリCでは50µm以内に強度の約98%が集光されています。計算された理想の強度と実際に測定された強度を比較することによって、 集光されたエックス線放射と集光されていないエックス線放射の割合を決定できます。 図3のグラフが示すように、キャピラリCにおいては強度の98%以上がサンプルの50µm以内にあるが、キャピラリAでは80%未満です。キャピラリAからのX線の大きな部分が実際の焦点場所より外側数100µmの領域に放射されているのが解ります。

 

 

 

 

 

図4a: ウェハ上の40µm角のSnパッドのSEM写真。
各パッドの上のSn層の厚さをキャピラリタイプAとCで測定。

この現象は半導体産業の典型的な例を使用することで例証できます。 ウェハ上には、異なるサイズ(50µm、75µm、 100µm)のパッドがあり、Snでコーティングされています(図4a)。 様々なパッドサイズのSn層を、両方の種類のポリキャピラリ光学系で測定します。 ハロー現象のあるキャピラリが使用されると X線の約20%がパッドの外側に放射されるので、 コーティング厚の測定値は約20%小さくなります。 図4bから観察できるように、 パッドが小さければ小さいほど、この現象は強くなります。

 

 

 

図4b: 大きさの異なるパッドのSn層の厚さを2種類のキャピラリで測定した場合の比較。 ポリキャピラリにハロー現象がある場合は、厚さが低く表示されます(ハロー現象なしのキャピラリによる測定値に正規化)。パッドが小さいほど、ロスは増加します。
 
この革新的技術により、 IfGとフィッシャー社は微小構造物の分析に最適なポリキャピラリ光学系を開発しました。 このポリキャピラリ光学系はウェハ分析用をはじめフィ ッシャーのXDV-µシリーズに標準装備可能です。